かけはぎ(かけつぎ)とは、ひと言でいえば傷んだ生地や衣服のその部分を、元の状態に復元する作業のことをいいます。それが完璧に近いほど、かけはぎの技術がすぐれていることになります。
私たちが使っている衣類は、日常生活の中でどうしても傷みが出るものです。その傷みが部分的である場合、当然修理することを考えますが、修理の痕跡が残らなければその衣類の価値は損なわれず、良い状態で長く使えることになります。そこに、かけはぎをする意味があります。
かけはぎが必要になる原因は?
かけはぎが必要になる原因としては、金具等に衣服がからまったはずみで繊維が裂けてしまう「カギ裂き」がよくあげられます。その他、虫による破損や焼けこげによる損傷などがあります。
かけはぎの修復料金の目安
クリーニング店などに依頼されるかけはぎでは、概ね直径2~3センチ程度の大きさのものが多いです。それらの大きさのかけはぎを依頼する場合、おおよそ1万円前後が料金の目安となるようです。生地によってかけはぎの難しさも変わるため、それによって前後することがあります。
必要とされるかけはぎの技術者
昔から衣食住と言われる通り、衣服は人の生活に欠かすことができません。大切な衣服やお気に入りの衣服を長く着続けることは、充実した生活を送ることにも役立ちますし、エコの観点からも注目度が上がっています。その一方で、比較的人口やクリーニング店が多い都市部であっても、かけはぎが出来る店舗を探すのは容易ではなく、技術者がまだまだ不足しているのが現状です。社会に必要とされるかけはぎ技術者を一人でも多く養成するために、がくぶんでは「かけはぎ技術講習」の通信講座を開講しました。
抜き糸方式によるかけはぎの技術とは
がくぶんの「かけはぎ技術講習」で身につけられるかけはぎ技術は、吉村一男先生開発の「抜き糸方式」と呼ばれるものです。これは、完成度が高い技術と全ク連(全国クリーニング生活衛生同業組合連合会)をはじめ、衣服のリフォーム業界が絶賛している方式です。
はぎ目に共布の糸足をさし込みやすくし、織目を正確に読みとるために、本生地の損傷部分の周囲のはぎ目の糸を抜きます。これを抜き糸といいます。抜き糸の上にそっくり同じ組織を入れて共布の糸足をさしこめば、新しい組織のなじみはよくなります。また、抜き糸は組織を正確にはめ込む目安となります。